2009年7月9日木曜日

韓国伝統音楽


 私が韓国伝統音楽に本格的に興味を持つ切っ掛けとなったのは、2008年7月3日~12日の間に行われた韓国文化院が開催する韓国伝統音楽講座短期コース(全4回)で、「韓国国立国楽院」で「伽倻琴」(カヤグム)の「副首席奏者」を務める「李侑娜」(リ・ユナ)さんから「伽倻琴」を習ったことにある。

 2009年6月19日(金)に新宿・四谷に移転した「韓国文化院」で「韓国文化院開院30周年・新庁舎移転記念公演」を観てきた。

 公演は、「サムルノリ」を演奏するグループ四物広大(サムルグァンデ)による力強い熱気溢れる「キルノリ」という曲の演奏から始まった。その演奏は、力強さだけでなくそのハーモニーもまた素晴らしいものであった。私が興味を覚えている「チャング」をあのように演奏することもできるのかと驚かされた。
 「サムルノリ」は「四物の遊び」という意味で、地方ごとに異なる農楽の中でも必ず用いられる4つの楽器(ケンガリ、チン、チャング、プク)で演奏する。チン(鉦)は風を、プク(太鼓)は雲を、チャング(鼓の一種)は雨を、ケンガリ(小さい鉦)は雷を表現し、また、金属製の楽器は天を表し、木と皮の楽器は地を表すと言われており、4つの楽器が奏でる楽曲は、天地・宇宙を表現するものであるという。

 続いて、独舞「僧舞」(スンム)が趙恩夏(チョ・ウンハ)さんによって舞われた。この「僧舞」は、韓国の多くの舞の中でも特に見たかった舞であった。漸く念願が叶った。それも生演奏をバックに「僧舞」を視ることができた。趙恩夏さんの舞は、全体的に素晴らしかったが、その中でも太鼓を演奏しながらの舞いが特に印象的で、なかなか見ごたえがあった。

 「祝唱」が韓国の伝統音楽「パンソリ」の大家といわれる安淑善(アン・スックソン)さんの独唱と、韓国国立唱劇団の張宗民(チャン・ジョンミン)さんのチャングの演奏で行われた。「パンソリ」は、語りに近い形態で行われ、私の「ハングル」の知識がないために、どのような内容であるのかを理解することができなかったのが残念である。

 韓国ドラマ「英雄時代」で「パンソリ」の名手として「ソソン」(キム・ジス)が登場していたことを思い出す。

 「夕刻から夜明けが訪れるまで」という「ヘグム」独奏の楽曲がピアノの伴奏(テープ)で「李恩京」(イ・ウンギョ)さんによって演奏された。美しいメロディーがヘグムのモダンな演奏によって奏でられた。

 「25弦伽倻琴」と「テグム」のための「メナリ」という楽曲は、金美卿(キム・ミギョン)さんによる「25弦伽倻琴」の演奏、張侊洙(チャン・グァンス)さんの「大琴」(テグム)、そして成知恩(ソン・ジウン)さんの「杖鼓」(チャンゴ)による素晴らしい演奏が行われた。

 数々の演目の中でも特に注目したのは、韓国古楽器である「伽倻琴」の第一人者として知られ、また現代的な楽曲を自ら作曲して「伽倻琴」を演奏することでも知られている国立国楽管弦楽団の芸術監督で、梨花女子大学の名誉教授である「黄秉冀」(ファン・ビョンギ)さんによる演奏である。今迄聴いた伝統的な「伽倻琴」の演奏とは異なり、モダニズムが随所に表されている独特の演奏で「沈香舞」を聴かせてくれたことだ。非常に素晴らしい演奏で多くの聴衆が魅了された。朴天志(パク・チョンジ)さんの「杖鼓」の伴奏も見事であった。

 そして、韓国国立国楽管弦楽団による演奏で、「伽倻琴」等の韓国国楽の楽器が見事にハーモニーを奏でる素晴らしい演奏であった。

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