2009年10月31日(土)
キャンパスの木々の葉が秋色になり始めた「筑波大学 春日キャンパス」で、先々週に引き続いて、KEK(高エネルギー加速器研究機構)が主催する「公開講座」(2)に参加した。今日は、「物理」に直接関係する内容の講義なので楽しみだ。
講義内容
(1)「ビックバンの前を探る新しい宇宙観測」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 教授 羽澄 昌史
(2)「ブラックホールの熱力学と超弦理論」
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授 磯 暁
前回と同様、講義の時間は、質疑応答の時間と休憩時間を含めて13:00~16:30の約3時間半の予定だったが、後半の講義が延び、17時近くまで質疑が続いた。2つの講義ともに内容的にかなり充実したもので、将来の物理研究の一端を知る思いであった。
前回の公開講座(1)と同様、TPのプリントアウトが事前に配られ、講義は、そのTPの内容に沿って説明されるので、ノートを取る必要がない。今回の講座も両講師ともに日本及び世界におけるその道のエキスパートであり、充実した内容の、素晴らしい講義を行って下さった。
羽澄教授は、1965年に偶然観測された「宇宙背景放射」(Cosmic Microwave Background Radiation)(光の化石)に基づいた宇宙の研究について、詳細に説明された。そして、「宇宙背景放射」(CMB)にまつわるこれまでの発見物語と、「チリ」の山頂でこれからはじまる新しい観測を紹介された。「宇宙背景放射」(CMB)により、どのような「物理的規則」に基づいて「宇宙」が137億年前に誕生したのか、というテーマを研究することは、大変に興味がある。今後は、観測衛星を打ち上げて、更なる実験を行ってゆく予定であるらしい。この研究も「ILC」プロジェクトと同様に、国際規模で「共同研究」として行われてゆくことを望む。
磯准教授は、ブラックホールにエントロピーの概念を適用して、「ブラックホール熱力学」を一つの例として、「時空の熱統計的な性質」について、最近の超弦理論の発展と共に、最近の研究の一端を紹介された。大変に興味を覚えたのは、重力における係数、量子力学における係数、電磁気学における係数、そして、熱力学における係数をそれぞれ関連付けて説明されたことである。これは、私にとっても新しい物理へのアプローチの仕方であった。
受講者の中に、中学生がいた。塾だけに通っていないで、最先端の物理・実験及び理論に興味を抱いている若い世代がいることに希望を感じた。
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