日時:平成24年11月5日(月) 19:00~
場所:サントリー・ホール
≪曲目≫:
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003グバイドゥーリナ:リジョイス(喜び)! -ヴァイオリンとチェロのための
-- (休憩)--
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番 ト長調op. 27-5
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117
≪アンコール≫
・シルヴェストロフ:セレナーデ
・ロックバーグ:カプリース変奏曲
演奏
ヴァイオリン:ギドン・クレーメルチェロ:ギードレ・ディルヴァナウスカイテ
「J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003」が奏でられはじめたとき、私は、ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)の演奏が「ヴァイオリン」という楽器の演奏を超越した「音楽の哲学」であると瞬時に感じられた。奏でられる「音」に魅せられていくのは、「哲学者」の「話」を聴いていて、それに引き込まれていくような気持ちだ。「なんで、あそこまでヴァイオリンという楽器を、いろいろな音調を奏でられるように、繊細に駆使できるのだろうか」。彼の演奏を聴いていると、「ヴァイリン」が、単なる楽器ではなく、「生きもの」なのだ。それは、演奏中、彼とヴァイオリンが一体化しているからだ。これまで聴いたヴァイオリン演奏者のそれとは、全く違う演奏の手法である。
クラシック音楽では、これまで受け入れることができなかった現代曲。しかし、今回のコンサートで、初めて現代曲の演奏を楽しむことができた。それは、「グバイドゥーリナ:リジョイス(喜び)! -ヴァイオリンとチェロのための」という曲で、その奏者は、ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)と、ギードレ・ディルヴァナウスカイテ(チェロ)の二人。
二人の演奏は、彼らの「動き」(楽器を演奏するときの様子)を見ているだけでも魅了される。そして「楽曲」は、我々の世界とは異なる世界から発せられている「音楽」のように感じられた。二つの楽器が奏でる楽曲の部分にはハーモニーがないように一見感じられるが、実は上手くハーモナイズされたもので、ヴァイオリンとチェロが持っている楽器としての別の面から作り出させる音(通常奏される手法とは異なる手法により捻出される音)を、個性的な奏者による演奏によって聴くことができた。「現代曲は、このように演奏されるべきもの」、ということを実感させられた。
一見、邪道とも思われるヴァイオリンそしてチェロの弾き方が披露されたが、それは、それぞれの楽器が持っている特性を存分に引き出せる才能を有する奏者だから可能なことなのであって、二人の演奏がまるで「別世界」から聴こえてくるように感じた。
休憩後の二曲、イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番 ト長調op. 27-5とバルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117では、ギドン・クレーメルによる「ヴァイオリン」演奏を十分に堪能することができた。
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