2010年2月11日(木)祝日に、「吉田簑助文化功労者顕彰記念」と銘打った「文楽」公演を東京・国立小劇場で観た。
「淡路島」で「人形浄瑠璃」を初めて観てから、いつか本格的なものを観劇したいと思っていたが、漸くその機会が訪れた。
<第一部>(11時開演)の公演は、四季の風物詩を舞踊化した「花競四季寿」(はなくらべしきのことぶき)と、能の「景清」を基にした「嬢景清八嶋日記」(むすめかげきよやしまにっき)の二つの演目で構成されている。
「花競四季寿」は、床に大夫6名、三味線6名が勢揃いして、まるで「歌舞伎」の舞台を観ているような気分になる。
大夫・才蔵の春の「万才」、夏の「海女」、秋の「関寺小町」、そして冬の「鷺娘」という4部構成で、大夫を吉田勘弥、「才蔵」を吉田勘緑、「海女」を豊松清十郎、「小町」を人間国宝の吉田文雀、そして「鷺娘」を吉田和生がそれぞれの人形を操っている。いずれも素晴らしい人形の操りの演技である。
この中でも特に、「関寺小町」を操った吉田文雀と、「鷺娘」を操った吉田和生の人形の演技が大変に素晴らしかった。
特に、「関寺小町」を百歳の小野小町を想定しての仕草や感情表現の卓越した演技と、「鷺娘」の雪景色を背景として奇麗な衣装と傘を用いた見事な程に美しい舞には、初めて人形の演技に見惚れてしまった。
「嬢景清八嶋日記」では、「景清」を吉田玉女、「娘糸滝」を桐竹勘十郎がそれぞれ操った。この劇では、<日向嶋の段>から大夫として「切場語り」の豊竹咲大夫、そして三味線には鶴澤燕三の組合せ。迫力ある「語り」と切れ味が鋭い見事な三味線の「音」をそれぞれ聴かせてくれる。
<日向嶋の段>では、吉田玉女が盲目の「景清」を見事に操り、人形とは思えないような素晴らしい演技を観せてくれた。
どうやら「人形浄瑠璃・文楽」の虜になってしまったようである。興味がある演目があったらまた観劇したいと思う。
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