鎌倉・東慶寺の茶室「寒雲亭」にて、武者小路千家の正教授の先生の指導による「体験茶道教室」に参加してみた。
「東慶寺」の受付で支払いを済ませ、受付に待機されていた先の同席者の一人(男性)に案内されて「寄付」に入る。
ここで、案内して戴いた方と対話する。彼は「東慶寺」で庭、等の世話をして働いているという。
茶室「寒雲亭」は、京都の「裏千家」にある茶室と同じ名前であるが、この「東慶寺」の「寒雲亭」が元々京都の「裏千家」にあったもので、明治時代、東京の久松家に移築され、その後、鎌倉・材木座の堀越家を経て昭和35(1960)年、堀越家から寄進されて「東慶寺」に移築されたものである。「寒雲亭」には、「真行草(しんぎょうそう)の天井」、その草にあたる船底型の天井の下には、「千宗旦」筆の「寒雲」の扁額、そして「櫛形の欄間」が施されている(平成6(1994)年改修)。
靴下を履き替えて待機する。そのうち、既に数回に亘り教室に参加されている3名の女性が到着した。今日の参加者は、私を含めて5名であるが、初めて参加するのは、私一人であった。
暫くすると、今回の教室参加に際してメールで何度が交信したことがあるIさんが「寄付」に見えられたので挨拶をする。
ちょっと雑談をした後、「寄付」を出て「草鞋」を履き、「露地」を通って「茶室」へ向かう。苔の生えている「露地」はなかなかみごとで風情がある。これは、初心者の私のために行ったものであるが、教室への参加の回数が重ねられると、どうやら省略されるらしい。
「露地」を通り抜けると「茶室」の茶室の「入り口」(立ったまま入れる「貴人口(きにんくち)」)に到る。「踏み石」で「草鞋」を脱ぎ、「扇子」を「貴人口」から「広間」に入ったところのちょっと先に置いてから軽く会釈をして「広間」に入る。
「広間」に上がったならば、まず、「床の間」の前に進み、「掛け物」の前で「扇子」を自分の膝前に置いてから、軽く会釈をして、「掛け物」を拝見する。
「掛け物」は、東慶寺の前住職「釈宗演」による書であった。(後でそれが判った。そして、書かれている字とそれらの内容の説明があった。)
続いて、竹筒の「花入れ」の正面に向きを変えて、「扇子」を自分の膝前においてから、やはり軽く会釈をして、「花」を眺める。「むくげ、だなぁ」と気付く。しかし、それに添えられている花はわからない。(後で聞いたが忘れてしまった)
そして、「通り路」と仮定されている畳の上を歩いてから、自分の席まで歩き、そこで向きを変えて着座する。自分の膝と前の畳の縁との「間隔」は、手のひらが入るくらいの「間隔」で座る。座ったら「扇子」を自分の膝前において、軽く会釈をする。手の付く場所は、かならず自分の正面で手をつくこと。そして、左脇に「懐紙をいれた持ち物」、そして右脇に「扇子」をそれぞれ置く。
枕が配られたので御尻の下に敷く。これで正座が大いに楽になる。すると自然と姿勢もよくなってゆく。
全員が着座した後、先生から御挨拶があり、早速、生菓子が銘々皿にて配られた。今日は、季節の「水羊羹」。銘々皿は、それぞれの人の「縁の外」に置かれている。そして、「冷たいうちに」ということで、銘々皿を「縁の内」に置いてから、皿の向きを変えて、「水羊羹」を頂戴する(なかなか美味しい。(どこのだろうか。北鎌倉「こまき」のものかなぁ)。
いよいよ、お点前であるが、すでに亭主の方は、最初の御茶を準備している。
先生を除いて考えると、正客から順番に御茶の御点前が始まった。今回の教室では、私を案内してくれた男性が正客となった。
まず、正客が席を立ち、茶碗を亭主のところまで取りに行く。作法が始まった。無事に御茶を頂戴し終えたようだ。
次いで、二番目の客が茶碗を亭主のところまで取りに行く。そして、無事に御茶を頂戴し終えた。
そして、私の番であるが、私は初心者なので、半東の方が、亭主のところから茶碗を運んできて下さった。
私の膝前の縁の外に茶碗が置かれた。ここで半東の方に軽く会釈をする。
次いで、茶碗を縁の内に取り込む。このときは自分の膝右手前に茶碗を置く。そして、次の客(左側)との間に茶碗を移し、「お先に」と会釈して、茶碗を自分の正面点前に置き換えてから、亭主に「お点前頂戴いたします。」と会釈してから右手で茶碗を持ち、左手で茶碗の台を支えから、胸元近くに運び、時計方向に二度(約90度)回転させて、正面の絵を移動させてから茶を頂戴する(飲み干す:何口で飲み終わってもよい)。
飲み終えたら、飲んだところ(口)を指で拭い、懐紙で指を拭き、茶碗を半時計方向に二度(約90度)回転されて、正面の絵が自分に向くようにする。
ここで、茶碗を眺めてもよいが、懐紙を下に敷いてからその上で眺める。これは、茶碗の中に残っている御茶が多少こぼれても大丈夫なようにするためである。
綺麗な絵柄の茶碗である。妻が持っている茶碗に、かなりよく似ていたが、その絵柄をあまりよくは覚えていない。
眺め終わったら、一度、縁の内で茶碗を自分の点前に置き、正面が受け取る側の方になるようにして、縁の外へ置く。そして、半東の方に会釈をして。私の番が終わる。
後は、残りの人が終わるまで、お点前をしている亭主の道具の使い方や作法を眺めることにした。(心の中では、茶室から外の「露地」を眺めて見たかったのだが)。
「炭」で炊かれている風呂に載せられた釜には、すでにお湯が沸いている。御点前の数に合せて、「水差し」から水を足している。「炭」が炊かれていれば、そこには「香」があるはずだが、緊張していたので、私には「香」を感じることができなかった。
綺麗な瑠璃色のガラス製の大きな「水差し」で円形の蓋には蝶番が直径に沿って二つ付いていて半円形のいれかを開けることができるようになっている。
お点前が一通り終わってから正客がその名前及び由来を尋ねた(棗、茶杓の拝見を申し出、問答するというものであるが、この手順にも作法がある)茶道具が回ってきた。
棗は、「夕顔」の蒔絵があしらわれた「夕顔」という名の棗で、蓋の裏側は銀で覆われている。棗の中の御茶も綺麗に盛られていて、お点前で使われた部分がみごとに取り出されていることが一目でわかる。茶杓は、東慶寺さんのものである。
お点前が終わり、亭主が片付けを終えるまで皆で注目。
そして、先生を囲んで、雑談の一時となる。
ここで茶道入門教室は終了となる。そのまま居残って4名の生徒さんの習う様子を見学してもよいとのことなので、見学することにした。
「広間」は、「京間」の八畳で、かなり広く感じられる。また、夏の茶室らしく、簀戸(すど)で囲まれていて、見た目には涼しげであるが、実際には、戸を開けない風が通らないので涼しくない。
後で判ったことだが、「むくげ」は、「千宗旦」が好んだ花であるという。
境内からは、散策する観光客の声が時折聞こえてくるが、静まり返ると、鶯の綺麗な鳴声が「谷戸」に木霊して聴こえてくる。いつもは参拝するだけの「東慶寺」を、違った形で楽しむことができた。
今回の教室では、既に何回か参加されている4名の方と同席させて戴き、初めて参加するのが私一人であったので多少緊張したが、同席した人々の作法を見ながら、そして、指導してくださった方々のお陰で何とか一通りの作法を体験することができた。
せっかく学んだ「茶席内での作法」及び「客ぶり」は、やはり実績を重ねることが必要であると思うので、これからは、茶室「寒雲亭」にて催される「月釜」に機会を見て参加したいと思っている。扇子、懐紙、そして、それらを入れるものを買っておこう。
私の目的は、「茶を楽しむ」(茶席で御茶を頂戴する)ときの作法を学ぶことにあったので、その目的にかなったものであった。しかし、やはり一通り茶道を習得すべきであろうと感じた。機会を見計らって、続けて教室に参加したいと思う。
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